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世の中、おカネが回れば景気がよくなる。銀行がカネを貸さなくなると、モノの値段が下がり続けるデフレ不況になる。ならば、中央銀行が思い切ってカネを刷り、金融機関に流し込めばよい-。これが、バーナンキFRB議長の基本的な考え方だ。
バーナンキ氏はFRB理事だった2002年、フリードマン氏90歳の誕生パーティーで「FRBは二度と同じあやまちは繰り返しません」と誓った。さらに「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばらまけばよい」とまで言い切り、市場から「ヘリコプター・ベン」とあだ名されるようになった。
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対する白川総裁はお札を刷っても景気や物価の刺激効果は乏しいとみる。効き目があるのは、不良債権問題などで金融不安が生じているときだとしている。
白川氏はバーナンキ氏には「違和感を覚える」と周囲に漏らす。
バーナンキ氏にとって十数年もデフレが続く日本は格好の教材だった。プリントン大教授時代から日銀の政策がいかに間違ったかを研究。FRB理事になった02年には「デフレを米国で起こさせないために」、翌年には「日本の金融政策に関する若干の考察」との表題で講演した。趣旨は、思い切った規模での量的緩和政策による脱デフレだが、内容は日銀首脳を驚愕させるのに十分だった。
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当時、白川氏は日銀理事としてゼロ金利政策や量的緩和政策に携わったが、バーナンキ氏は中途半端だと一蹴、物価がデフレ前の水準に戻るまでお札を刷り続けろと迫った。さらに日銀が国債を大量に買い上げ、減税財源を引き受けるべきだとたたみかけた。
日銀はガードを固めた。長期国債保有額を日銀券発行額の限度内に収めるという内規「日銀券ルール」を徹底。06年3月に4カ月連続で物価の上昇率が0%台になると、すかさず量的緩和政策を解除した。
ただ、デフレの方はバーナンキ氏の指摘通り、今も解消していない。
世界経済が大混乱に陥る中、FRBは09年3月から1年間、紙ぐずになりかけた住宅ローン担保証券などを1.75兆ドル買い入れる量的緩和第1弾を実施。10年11月から今年6月には米国債を8千億ドル買い上げる量的緩和第2弾を行った。
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FRBの資産はリーマン前から3倍に膨張、バーナンキ氏のもくろみ通り、米国はデフレに陥らずに済んだ。だが、ドルは金融機関を経由して株式、さらに原油や穀物、金市場に流れ出て、世界的に物価を押し上げた。一方で景気はそれほど改善しない。この点ばかりは、今のところ日銀の白川方明総裁の主張に分がありそうだ。
白川氏は、米国流の量的緩和以外に解を探そうと模索してきた。リーマン危機が起きても米欧にただちに同調せず、利下げは遅れ、資金供給も小規模だった。ようやく昨年10月、脱デフレのための包括緩和策を打ち出し、「実質的にゼロ金利政策を採用していることを明確化した」と回りくどく宣言した。
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通貨と比べて実質金利が高いということは、その国の通貨による預金や国債などの金融資産の価値が高いことを意味する。だから国内外の投資家はドルを売って円を買う。超円高はこうして起きている。FRBが今月、量的緩和第3弾に踏み切れば、さらに超「超円高」へと向かう。デフレ下の増税が重なり、企業は国内を見切る。雇用機会もなくなる。
学術的に白川、バーナンキ両氏のどちらかが正しいかは不明だが、少なくともお札を大量に刷ればデフレ病にかからないという事実は明らかだ。
デフレから抜け出ることが確実になるまで大規模な量的緩和に打って出る。物価を年2~3%程度まで上げると宣言して市場に実質金利低下の決意を示し、円高是正を促すことこそが日銀総裁の義務ではないか。
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バーナンキ氏はFRB理事だった2002年、フリードマン氏90歳の誕生パーティーで「FRBは二度と同じあやまちは繰り返しません」と誓った。さらに「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばらまけばよい」とまで言い切り、市場から「ヘリコプター・ベン」とあだ名されるようになった。
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対する白川総裁はお札を刷っても景気や物価の刺激効果は乏しいとみる。効き目があるのは、不良債権問題などで金融不安が生じているときだとしている。
白川氏はバーナンキ氏には「違和感を覚える」と周囲に漏らす。
バーナンキ氏にとって十数年もデフレが続く日本は格好の教材だった。プリントン大教授時代から日銀の政策がいかに間違ったかを研究。FRB理事になった02年には「デフレを米国で起こさせないために」、翌年には「日本の金融政策に関する若干の考察」との表題で講演した。趣旨は、思い切った規模での量的緩和政策による脱デフレだが、内容は日銀首脳を驚愕させるのに十分だった。
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当時、白川氏は日銀理事としてゼロ金利政策や量的緩和政策に携わったが、バーナンキ氏は中途半端だと一蹴、物価がデフレ前の水準に戻るまでお札を刷り続けろと迫った。さらに日銀が国債を大量に買い上げ、減税財源を引き受けるべきだとたたみかけた。
日銀はガードを固めた。長期国債保有額を日銀券発行額の限度内に収めるという内規「日銀券ルール」を徹底。06年3月に4カ月連続で物価の上昇率が0%台になると、すかさず量的緩和政策を解除した。
ただ、デフレの方はバーナンキ氏の指摘通り、今も解消していない。
世界経済が大混乱に陥る中、FRBは09年3月から1年間、紙ぐずになりかけた住宅ローン担保証券などを1.75兆ドル買い入れる量的緩和第1弾を実施。10年11月から今年6月には米国債を8千億ドル買い上げる量的緩和第2弾を行った。
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FRBの資産はリーマン前から3倍に膨張、バーナンキ氏のもくろみ通り、米国はデフレに陥らずに済んだ。だが、ドルは金融機関を経由して株式、さらに原油や穀物、金市場に流れ出て、世界的に物価を押し上げた。一方で景気はそれほど改善しない。この点ばかりは、今のところ日銀の白川方明総裁の主張に分がありそうだ。
白川氏は、米国流の量的緩和以外に解を探そうと模索してきた。リーマン危機が起きても米欧にただちに同調せず、利下げは遅れ、資金供給も小規模だった。ようやく昨年10月、脱デフレのための包括緩和策を打ち出し、「実質的にゼロ金利政策を採用していることを明確化した」と回りくどく宣言した。
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通貨と比べて実質金利が高いということは、その国の通貨による預金や国債などの金融資産の価値が高いことを意味する。だから国内外の投資家はドルを売って円を買う。超円高はこうして起きている。FRBが今月、量的緩和第3弾に踏み切れば、さらに超「超円高」へと向かう。デフレ下の増税が重なり、企業は国内を見切る。雇用機会もなくなる。
学術的に白川、バーナンキ両氏のどちらかが正しいかは不明だが、少なくともお札を大量に刷ればデフレ病にかからないという事実は明らかだ。
デフレから抜け出ることが確実になるまで大規模な量的緩和に打って出る。物価を年2~3%程度まで上げると宣言して市場に実質金利低下の決意を示し、円高是正を促すことこそが日銀総裁の義務ではないか。
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