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 大震災の前から、日本経済は15年越しのデフレと円高に直面してきた。 その結果、雇用と生産の落ち込みが大きい。 日本の株式相場も低迷を続けており、資産の目減りは消費意欲をそぐだけでなく、担保価値の減少を通じて企業への貸し出しを制約している。
 日銀は、阪神大震災後に比べて速やかに被災地の救援融資に取り組んだ点で評価できるが、インフレを恐れるあまり、デフレ、円高に伴う国民への皺寄せを放置している。
 今日本で一番必要なのは金融緩和である。 日銀による国債の買い上げや引き受けを通じて実施すればよく、円安を導く政策である。
 変動制の下では景気安定のために望ましい為替政策、金融政策をとることは、世界の経済厚生のためにも有益なのである。岡田靖氏と浜田宏一氏の共同論文によると、最終的に各国とも最も良い物価水準を実現できる。
 日本の財政悪化は、社会保障費の増大も要因だが、15年も続くデフレ・低成長に陥ったことも大きな要因だ。
 大規模な災害の復興財源を増税で賄うとすれば、日本経済に一層の不況圧力を押し付けることになると考える。資本設備の復旧は、現世代だけでなく将来世代にも恩恵を及ぼす。その一部を将来の世代が負担するのはむしろ公平であるから、公債で調達するのが望ましい。公債の一部を日銀が買い上げれば、インフレを加速しない限度において、デフレ、不況を和らげるとともに公債の政府負担を軽減する。
 現在の財政危機を解消するには、金融緩和により歳入を増やし、増税に頼るのをなれべく少なくするのが経済学の定石である。
 環境税は水や空気をきれいにするだけにとどまらず、イノベーションを通じて新たな需要を生み出し、日本が低成長を脱するきっかけになるかもしれない。
 消費税増税は国民経済のパイ全体を小さくする政策であり、歳入の減少を招く。
 十分な金融緩和によりデフレ、需要不足、低成長を脱することが先決である。



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