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 円高肯定論は根強い。なかでも一国の通貨の価値が高くなるのは悪くないという「円高性善説」は根強い。この主張には疑問がある。一般的に、あるモノの価値が高ければ高いほどよいということはないからだ。
 第一次世界大戦後の英国では、実効レートより切り上げて金本位制に復帰し不況に陥った。ケインズがこの政策に真っ向から反対したのはよく知られている。
 第二次世界大戦後の日本では、1ドル=360円の固定レートが続いた。このレートは円を過小評価していたという。日本の高度経済成長はこの過小評価された円のもとで実現された。1971年のニクソン・ショックを日本はうまく切り抜けたというが、その時、実質経済成長率は高度成長時の半分以下に切り下がった。高度成長終焉については各種の仮説があるものの、円高がよかったとはいえないだろう。
 プラザ合意後の円高については、その直後に円高不況がやってきたことを忘れてはならない。それが軽微に済んだのは金融政策を緩和したからだ。もちろんそれが後のバブル経済を招いたという批判はある。しかし、それも元々はわざわざ円高を目指したことに始まっている。円高がよかったとはいえないだろう。
 あるいは円高性善説では、今の円高が日本の実力を反映しているというのかもしれない。実力という言葉は曖昧だが、この考えが正しいならば、日本の実力は現在世界最高水準ということになる。しかし、少なくともマクロ経済の指標で見る限り、ここ20年あまりの成果は振るわない。やや景気が回復した2002~07年の時期は円安の時期であった。円高がよかったとはいえないだろう。
 さらに、円高性善説では、円高で日本人の資産が増えると考えられるのかもしれない。よく日本の個人金融資産残高は約1500兆円であると誇らしげに言われる。しかし、この数字は1990年代に伸び率が鈍化し、2006年をピークに減少している。要因は複合的としても、所得が伸びず投資活動も停滞し、デフレで名目金利が低い状態で資産が増えるわけがない。
 もちろん、日本がデフレを脱却して雇用と所得を回復し、失業率を下げた後で円高が起きることはありうる。しかしそれで「円高が望ましい」ということにはならない。通貨が高いことはよいこととは限らないのである。



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