忍者ブログ
お気に入りの記事になります
<< 10  2024/11  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30    12 >>
[17] [16] [15] [14] [13] [12] [11
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 円高肯定論は根強い。なかでも一国の通貨の価値が高くなるのは悪くないという「円高性善説」は根強い。この主張には疑問がある。一般的に、あるモノの価値が高ければ高いほどよいということはないからだ。
 第一次世界大戦後の英国では、実効レートより切り上げて金本位制に復帰し不況に陥った。ケインズがこの政策に真っ向から反対したのはよく知られている。
 第二次世界大戦後の日本では、1ドル=360円の固定レートが続いた。このレートは円を過小評価していたという。日本の高度経済成長はこの過小評価された円のもとで実現された。1971年のニクソン・ショックを日本はうまく切り抜けたというが、その時、実質経済成長率は高度成長時の半分以下に切り下がった。高度成長終焉については各種の仮説があるものの、円高がよかったとはいえないだろう。
 プラザ合意後の円高については、その直後に円高不況がやってきたことを忘れてはならない。それが軽微に済んだのは金融政策を緩和したからだ。もちろんそれが後のバブル経済を招いたという批判はある。しかし、それも元々はわざわざ円高を目指したことに始まっている。円高がよかったとはいえないだろう。
 あるいは円高性善説では、今の円高が日本の実力を反映しているというのかもしれない。実力という言葉は曖昧だが、この考えが正しいならば、日本の実力は現在世界最高水準ということになる。しかし、少なくともマクロ経済の指標で見る限り、ここ20年あまりの成果は振るわない。やや景気が回復した2002~07年の時期は円安の時期であった。円高がよかったとはいえないだろう。
 さらに、円高性善説では、円高で日本人の資産が増えると考えられるのかもしれない。よく日本の個人金融資産残高は約1500兆円であると誇らしげに言われる。しかし、この数字は1990年代に伸び率が鈍化し、2006年をピークに減少している。要因は複合的としても、所得が伸びず投資活動も停滞し、デフレで名目金利が低い状態で資産が増えるわけがない。
 もちろん、日本がデフレを脱却して雇用と所得を回復し、失業率を下げた後で円高が起きることはありうる。しかしそれで「円高が望ましい」ということにはならない。通貨が高いことはよいこととは限らないのである。



有名ブログランキング




PR
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Secret (チェックを入れると管理人だけに表示できます)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
性別:
非公開
バーコード
P R
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
Powered by Ninja Blog    template by Temp* factory    photo by 空色地図 -sorairo no chizu-    icon by Atelier Black/White

忍者ブログ [PR]